第31章 僕が僕らしくあるために
俺の好みなんかは、
実は俺よりも分かってる智…
おにぎりの包みを空けながら、
そっと隣に座る彼の横顔を盗み見る。
もぐもぐと、可愛い顔しておにぎりを頬張って…
嬉しそうな…幸せそうな顔して…
…あ、ご飯粒が…
頬に手を伸ばして取ってやろうとして一瞬考える。
誰が見ているか分からないこんな場所で、
迂闊なことはしない方が賢明だろう…
「智…ご飯付いてる…」
「えっ?どこ~?」
「ここ…ほら、ここんとこ」
「とって~♡」
なんだその甘えた声は(-_-;)
俺は慌てて周りをキョロキョロし、
まあ、俺たちの席の近くには誰も座っていないし、
焦ることも無い…けどさ…
文句を言おうと思ったけど、
蕩けそうな顔した智のほっぺたの米粒の、
魅惑の輝きに勝てず…
指先でそっと取って自分の口に入れた。
「智、お前…」
「んふふふ、くすぐった~い(*^-^*)
翔ちゃん、ありがと♡」
………
「あ、う、うん…」
ダメだ(*´ω`*)
いつもこの顔にやられてしまう…
ふにゃんと笑うその笑顔に…
幸せオーラを周りに撒き散らしながら、
智は嬉しそうにおにぎりを口に運んでいる。
……無駄に可愛いし(。-`ω-)
「翔ちゃん、食べないの~?」
「え?」
不意に言われて、我に返った。
智が見つめるのは、俺の手に握られたまま、
形を変えていない三角形…
「いらないなら、半分食べてあげようか~?
俺、そっちもいいな~って思ったんだ♪
まあ、どうしても食べたかったら、翔ちゃんと半分こずつ食べればいいかと思って(^^)」