第6章 運命の深い渦
「えっ?」
とっさに胸を押さえてはみたけど、
その朱は、胸から、腹に、いくつも咲いていたわけで…
「…あっ…」
おかしな空気になりそうだと思ったのか、
ニノが、すかさず、
「彼女に、よく注意しといてくださいよ」
と笑いにもっていこうとしてくれた。
すると今度は、大野さんが、
「あっ…」
(今気づいたんかい‼)
ニノの機転も、『夕べ泊まった』と宣言していた人が、
この場にいるわけで…
誰が見ても、新しいその痕は、
夕べ泊まった、
『その人』が付けたことは、一目瞭然で…
ちらっと見ると、ニノと目が合ってしまう。
相葉くんは…というと、
彼が、この場をうまく切り抜けるスキルは、
到底持ち合わせておらず…
夕べ、誰が俺の家にいたのか、
タッチの差で知りえなかった大野さんが、
とどめの一言。
「あれ?だって、昨日、翔ちゃん、
相葉くんと帰ったじゃん…?」
………
ここで初めて、困った顔をしていた彼が、
言葉を発した。
「ごめんね~…翔ちゃん…
今度は、気を付けるよ…」
………
おい!!!!
もう、申し開きも、
ごまかしもできない状況になった。