第30章 蜩〜ひぐらし〜
いっつも思ってる。
なんかずりぃ~よな…って。
不公平なんだよな…最近特にそれを感じる。
まあ、前からその傾向にはあったけど、
この頃それが、どうも如実に…
↑いいから早よ言えやぁ~!
だから~…
俺の『スキ』の方が、
翔ちゃんのよりも大きすぎるってこと。
翔ちゃんはいつも俺を好きだって、
なんならベッドの中では、
『アイシテル』って…
『智だけだよ』って、
そう何度も言ってくれるけど、
↑結局惚気かよ!
(度々登場の作者)
そんなこと、翔ちゃんには言えないよ〜?
うっかりそんなこと言おうもんなら、
『証明してやる!』なんつって、
ベッドで寝かせてくれなくなっちゃうからさ。
↑やっぱり惚気じゃん(--;)
「忍者っていうと、あれかな?
水の中に潜ったり、土の中に隠れたり?
あ!真夜中、真っ黒い凧に乗って、空飛んだりしちゃうのかな?相葉くんみたいに…
あれはさぁ〜…(^ー^)」
一人盛り上がる彼に分からないように、
こっそりため息を吐いた。
すると、そんな俺に気付いた翔ちゃんが、
「………智…まさか、やりたくないとか?じゃないよね…?」
「………」
「智。何で?大野智だから来た話じゃん!悔しいかな、俺には絶対に回ってこないカッコいい役だろ〜?」
「まあ…そうだけど…」
「おいっ!そんなことない!翔ちゃんにも出来るよ!ってお世辞でも言えやぁ(^^)」
「……うん」
喜んでいるのとは明らかに違う俺の態度に、彼もまた小さなため息を吐いた。