第29章 君と紡ぐ時間
俺が自分の意見を言わなくても、
相槌さえ打たなくても、
ひとりで語り続ける。
そんな事滅多にないからね~?
俺は噛みしめながら、彼の言葉を大切に受け止め続ける。
「こんな事言うと、『今更』とか『分かってるって!』とかさ…呆れられるかもしれないけど…
でも、敢えて今夜は…もう一回だけ言わせて~…」
「……翔ちゃんの奥さんになれてさ。
俺、最高に幸せだよ!
翔ちゃんも、幸せだって思ってくれてるって…
そう思ってるけど…」
「言わせる?俺にも(^-^)」
そこで俺は、顔を智の方へ向けた。
すぐ側…距離にしたら、18㎝くらいかな?
いや、19.5㎝かも…←それ、重要~?
少し潤んだキラキラした瞳がそこにある。
「…言わなくて、いいよ。分かってるから」
「俺も分かってるけど~?」
「でも!敢えて、って言ったじゃん!
今はどうしても言いたいんだ…だってさ…」
智が言うには、
俺が、『二人は結婚してる』って話した時、
増田と菊池はパッと顔を輝かせたけど、
上田は一瞬固まって、その後少しだけ眉を顰めた…って…
「あいつは、ああいう奴だからな~」
「きっとさ、尊敬する兄貴が、男と??って、そう思ったんだよ…そう顔に書いてあったし…」
まあ…そうかもな~…
「いいんじゃないか?100人いたら、その中のたった一人に理解してもらえれば、それでいいんだ…って、端からそう思ってんだから…」
「翔ちゃん!!」
急に智は、両手を俺の首に絡めて、しがみ付いてきた。