第29章 君と紡ぐ時間
「地球は愛で溢れています!!」
「お幸せに~!また来ま~す!!」
「嵐、サイコー!!」
そう叫ぶ3人を乗せたエレベーターを見送って、俺は智と部屋に戻った。
「なんか面白いね…あの3人…」
「な~…」
「…遅くなっちゃったね~、もう翔ちゃん、寝ないと」
「…ん…」
「片付けは俺がしとくから、お風呂入って~」
「さとし…」
「着替え…出しとくね」
「…こっち向けよ…」
「なんで~?俺片付けが…」
「智!」
俺から逃げようとする、彼の手首を掴んで引き寄せた。
「智…こっち向いて…」
「…なんで…?」
「顔見たいから」
「…いつも見てるじゃん…」
「今見たいの!」
背中から抱き締めた格好のまま、
暫し押し問答…
だけど、結果は分かってる。
俺の腕の中で、おずおずと身体の向きを変える智。
「…なんで、泣いてんだよ…」
「泣いてない…」
「じゃあ、これなんだよ~?」
智の頬の、涙のあとを指で辿った。
「…玉ねぎ切った…」
「いつ~?」
「…昨日…」
少し唇を尖らせる彼が、愛しくて堪らない。
「…泣き虫(^^)」
「……」
観念したのか、
目を伏せて大人しくしている智の頬に、
そっと唇を寄せた。