第29章 君と紡ぐ時間
「…俺たちだって…3人になっちまったし…」
上田がぼそりと呟いた。
「そんなこと言うんなら、うちだって松島、休んでるしね~…」
「ホントにさ…残ったメンバーで、何も言葉が出なかった日のこと…今も思い出すよ…」
………こいつらみんな、それぞれがグループの危機を経験して、乗り越えてきてるんだな…
今こうして明るく笑ってるけど、苦しくて眠れない夜を味わってるんだ…
そう思うと、なんだか俺よりずっと、逞しく、眩しく…
大人に見えてしまう…
「アニキんとこはその点、いいっすよね~みんな仲良しだし…真面目だし…」
「仲良しっていうか、なあ~…」
「いやマジで。いつも思ってますって!
嵐、マジですげぇ~、って」
上田のそんな言葉、初めて聞いたから…
なんだか不思議な感じがした。
上田の相談に乗ってたことはあったけど、
俺らの事は話してないからな~。
「俺たちも、翔くんたち嵐を見習って…まあ、3人になっちゃったけど、これからも頑張ります!」
増田に手を握られた。
「お、おう…」
「俺たちも…もうずっと、嵐が目標っす!」
菊池も手を重ねる。
ということは……
「俺も、アニキが目標っすから!」
上田も加わって、俺たちは4人で、固くを手を握り合った。
何だかおかしな方向に行ったけど。
増田は、愚痴を吐きだせたからか、最初よりもずっとすっきりした顔をしていた。
増田の辛い思いを、少しだけ、分けてもらえたとしたら…
今夜は来てよかった。