第29章 君と紡ぐ時間
マネに送ってもらって、指定された店に行くと、直ぐに奥の個室に通された。
「お〜、お疲れぇ〜」
「翔く~ん!急にすみません(^-^ゞ」
増田が駆け寄ってきてそう言った。
そんな彼の肩をポンポンと二回叩いて靴を脱いだ。
増田が用意した今日の宴席は、落ち着いた畳の部屋だった。
「アニキ、お疲れ様です!」
「アニキ、生でいいですか?」
上田と菊池が笑顔で俺を迎えてくれた。
いつもの面々が揃いアルコールも進むと、ちらほらと本音も飛び出して来る。
「…翔くん…あいつ、マジで…大馬鹿野郎なんすよ…」
酔いが回った増田が、いよいよ本音を溢しだす。
チラリと見ると、上田と菊池も盛り上がっている。
まあ、半分言い合いしてる様にも見えるけど…(^^;
あんなこと言ってるけど、菊池はちゃんと先輩として上田のこと尊敬し、立ててるから…
上手くいかなそうに見えて、そうじゃないから面白い関係なんだよな…
「…手越?」
「はい…俺たちついに、3人になっちゃいました~…なんか、笑っちゃいますよね~
9人ですよ?デビューした時…3分の1って、ありえないっすよぉ~」
「9人だったんだ~、お前たち…実は大所帯だったんだよなぁ…」
…こんな言葉しか掛けてやれない自分が歯痒い。
「マジで…翔くん…どうなっちゃうんですかね…俺たち」
「…増田…」
もともと一枚岩でもなかったし、寄せ集められたメンバーだったのも否めない…
でも、さあ、デビューだ!ってなったら、それなりに切磋琢磨しながら『グループ』になっていく…
それが、ジャニーズグループなんだ。