第28章 Blue in Blue....
素敵なご両親と、
仲良しな兄妹...
翔ちゃんはこんな家で育ったから、
こんなに明るいんだな..
そう思った。
この家で、期待されて、
親の愛情を一身に受けて育った彼を、
感じることが出来たこと...
なんだか、凄く嬉しかった。
俺は翔ちゃんに誘われて庭に出た。
塀のお陰でプライバシーも
しっかりと守られている。
日当たりがよくって、
櫻井家らしい庭だ。
「待ってて♪コーヒー入れてくるから」
翔ちゃんはテラスのベンチに俺を待たせて、
中に入っていった。
するとそこへ、
翔ちゃんのお父さんが来た///
「大野くん、今日はありがとう!」
「..はい..こちらこそ...」
急に二人っきりのこの状況に、
俺はまたしても、びびる訳で...
「大野くん....さっきの、君の言葉は、
正直、響いたよ...」
「...あ..」
遠くを見るような目で、
お父さんは続けた。
「認めているし、理解もしてる、
そのつもりだよ...
でもね...理解ある父親でいるのも、
なかなか大変なんだね..
翔もいつか、結婚したいと...
そんな人を連れてくるのかって
漠然と思ってはいたけど。
まあ、それが、男性だったのは、
想定外だったよ...」
お父さんはそう笑った。
穏やかに、優しい笑顔で....
「謝らないでくれよ..
君の気持ちは嬉しかったし、
よく分かった...
翔が、本当に大切だと、
そう思える人に出会ったことを、
今は、よかったと、
そう思っている。
翔はもうずっと前に、
事務所に預けたんだ。
だから、
大野くんは何も卑屈になる必要ない。
あいつのこと、頼んだよ。」
大きな手が、俺の背中を叩いた。
その重みに、温かさに....
俺はもう、
下を向いて、
嗚咽を堪えきれなかった。