第28章 Blue in Blue....
【智side】
....はぁ、何で俺、泣いてんだよ..
予想に反して、翔ちゃんの
お父さんとお母さんが、
俺のこと、受け入れてくれてたこと、
嬉しいのに....申し訳なくって...
すげー、カッコ悪いとこ、
見せちゃったけど...
でもさ...
言いたいこと、伝えたいこと、
言えたんじゃないかな、と思う。
俺としては、上出来だよ(^^;
俺と翔ちゃんの涙も落ち着いた頃、
見計らったように、妹の舞ちゃんと、
弟の修くんと、その彼女が帰って来た。
一気に家の中は賑やかになった。
女の子がふたり増えたからかなぁ、
華やかさが違うっていうか....
俺じゃ、出せない空気感だよ(-.-)
翔ちゃんも手伝ってお昼の用意が始まった。
すると、修くんの彼女の有紀さんが、
俺に向かって挨拶してくれた。
「初めまして。大野さんは
何をしてる方ですか?」
「えっ?...やっ、あの..」
咄嗟に何て答えたらいいのか戸惑う俺に、
修くんが笑って、
「すみませ~ん..彼女の家、
テレビがないみたいで...」
「ああ...」
この時代に、テレビのない家ってあるんだな。
ホントのお嬢さんって、
きっと、こんな人なんだろうな...
俺は、『嵐の大野智』という目で
見られないことに、
妙な安心感と解放感を感じていた。
.....でも、ひとりの、
何してるか分からないおじさん、
くらいに思ってるのかも...(;_;)
まあ、仕方ないけどね...
「智...今日、いつもの寿司屋の
なんと!特上寿司だよ~♪
歓迎されてるってことだからね~」
....そうなんだ。
櫻井家のルールはよく分かんないけど、
喜んで、いいんだよね...(^^;