第27章 愛しき日々よ
広い空間で二人っきり...
でも、いつ、誰が来てもおかしくないこの状況で、
翔ちゃんと交わす、
何度目かも分からないそのキスは、
唇をそっと重ねただけの、
中学生のファーストキスみたいで...
でもね、
それが逆に振るえるほどに、
俺を痺れさすんだ...
ドキドキして、
震えてるのが
彼に伝わってしまうんじゃないかって...
何だかね、妙に気恥ずかしくって...
いつ離れたらいいのかも、
分からなくなる。
不意に離れた唇を、
反射的に追いかけてしまいそうになり、
少しだけ微笑んでる君の視線とぶつかった。
急に恥ずかしくなって、
目を反らせて笑ってしまった俺。
「智...」
そう言いながら、俺の身体を引き寄せて、
抱き締めてくれた翔ちゃん...
「翔ちゃん...今日は、
連れてきてくれて、
ホントにありがとね...
もうなんて言ったらいいのか、
分かんないくらい、感謝してるよ...俺..」
素直な気持ちを、
彼の肩越しに打ち明ける...
『女神ベローナ』と目が合った。
何だかさ、
さっきよりも、
もっと優しい顔になってる気がした。
俺...こんなに幸せでもいいのかな?
って...
彼のことが、どうしようもなく好きで、
今でもすげー好きなのに、
もっともっと、好きになってく感じで...
ほんと、俺、どうなっちゃうのかな?
って思うよ。
ゆっくり俺から離れ、
「そろそろ行こうか...」
翔ちゃんが笑う。
大きな目を、少し細めて...
「...うん..」
ずっと、このまま居たい...
なんて、我儘言いそうになって、焦った。