第25章 新しい生活が始まる
【 翔side 】
さっきまでとは別人のように、
智の元気がなくなった。
大方、なんかの理由で
マイナス思考に急変換されたんだろう。
全く、忙しいヤツ...
そして、
分かりやすいったら....
ラーメン屋までは、
持て余すくらいな上機嫌だったくせに、
帰りは、葬式の参列者ですか?
って...
なんにも気にしないような顔してて、
実は、凄い気にしいで、
ちょっとしたことで、
心折れるくせに、
直ぐに忘れる....
それって...
いい年した大人じゃないよ、
全く。
どうせさ、
行きは、俺を、メイドにすることで
頭いっぱいで....
帰りは、手でも繋ぎたいのに、
どうして出来ないんだ...
みたいなことでしょ~?
(流石、図星ですよ、先生♪)
↑あなたいったい、誰?
エントランスを抜け、
エレベーターに乗ったところで、
しょんぼりする智の
手を握った。
少し冷たい指に、
俺の指を絡めると、
彼は泣きそうな顔で、
俺を見た。
......部屋に入ったらさ、
ギュウしてやっから!
まあ、待ってろって///
俺が笑うと、智はすっと、
俺の腕に体を寄せた。
智の願いを叶えてやりたいよ..
でも、それが出来ない歯痒さ..
ここをふたりの城にして、
それでいい...
それはそうなんだけど。
当たり前のように肩を組んで、
指を絡めて、
幸せそうに歩くカップルには、
俺たちはどこまでいっても、
なれやしないんだ....
この国では。
悲しいけどね...。