第25章 新しい生活が始まる
「ずいぶんとまあ、凄いところだね~?」
キョロキョロしながら、
母ちゃんが入ってきた。
「何?何で急に来たの?」
「なんで~?息子の引っ越しに、
親が来て、何が悪いのよ?」
さも当たり前だろう、って顔して、
母ちゃんは、部屋の隅っこに
風呂敷包みを置いた。
「広くて落ち着かないよ~...
ご飯まだでしょ?一緒に食べようよ」
そう笑いながら、
母ちゃんが広げた重箱からは、
きれいに並んだ、おにぎりが...
「ちょっと、飲み物とか、買ってきます」
マネージャーは、気を利かしたのか、
出て行った。
......なんで、この部屋で、
翔ちゃんより先に、
母ちゃんと二人っきりなんだよ...
なんか、笑える...
「何笑ってるんだか?
さあ、食べよう!中身、
いろんなのにしたからね♪」
おしぼりを出す母ちゃんに、
俺は素朴な疑問をぶつけてみた。
「母ちゃん、なんで今日来たの?」
実は俺、引っ越しのことは話したけど、
それが今日だとも、場所がここだとも、
言ってないんだ。
だから、タイミングよく母ちゃんが
ここに来たことが、
もう、謎で...
すると母ちゃんは、
「櫻井くんが、連絡くれたんだよ」
「えっ??翔ちゃんが~??」
マジで、びっくりした。
俺の知らないうちに、
彼がそんなことをしていたなんて...
「智くんと一緒になりたいって!
近いうちに、家にも挨拶に来たいって、
そう言ってたよ...」
「......うそだろ..」