第24章 On Special Day !!
「櫻井。私個人は、同性愛について、
何の偏見もないつもり。
寝食を共にし、一緒にいるうちに、
相手の良いところが見えて、
好意を抱くのは、
ごく自然のことよ。
今回はそれが、たまたま男同士だった
ただそれだけのことよ....
近くにいる人を惹き付けられないで、
ファンなんか寄ってくる筈ないでしょ。
辛いときも、
手を取り合って頑張ってきた
大野とあなたが、
そうなっても、寧ろ何の違和感もない。
私は応援しているわ。
ただ、世の中そんな、
解ってくれる人ばかりじゃない。
それは、分かるわよね?」
黙って頷く俺に、
「申し訳ないけど、
ふたりには忍んで欲しい。
やれ、櫻井の胸毛があったからだ、
ホテルでタバコをすってたからだ、
だから、ファンなんかやめる...
そんなことで騒がれてしまうのが、
この商売。
だったら、止めていただいて結構、
と言えないのが、
この仕事なの。
そんなファンでも、
それがなくなったら、食べていけないのが、
実情...。」
「よく...分かっています...」
俺の目の中に強い意思を見て、
彼女は大きく頷いた。
「仲良く、暮らしなさいね...
大野と。」
俺は立ち上がって、深々と頭を下げた。
「...ありがとう..ごさいます..」
そう言うのがやっとだった。
彼女は立ち上がり、
俺に握手を求めた。
「これから、この会社も、
色々大変になるかもしれないけど、
櫻井、よろしくね!」
頭を下げた俺は、
涙が溢れて、声にならなかった。