第5章 キミの笑顔が見たいから
荷物をまとめている俺のところに、
ニノが来た。
「あの人、ちょっと落ちてたから、
翔さんが上手く、フォローしてやってね」
心配そうなニノの肩に手をおき、
俺は笑顔で頷いた。
.......そういえば、俺も、
あれ以来、ニノに触れるのは久々だった。
なんだか、無性にニノのことが、
愛しくて、
そして、
遠かった。
俺の表情から、何となく読み取ったらしい。
俺の手に、自分の手を重ねた彼は、
ポンポンと軽く叩いてから下に下ろし、
「雅紀を頼むよ...」
と、強く握った。
それが、何を意図していて、
本当は何を言いたいのか、
分かるのは、もう少し、後のことだ。
俺は相葉くんのいる病院に駆けつけた。
マネージャーには、自分が送っていくから、
と告げ、ひとり処置室に残った。
緊急外来の奥にあるたくさんの部屋の中のひとつに、
彼は静かに眠っていた。
穏やかに、
少し笑みを浮かべているようにも見えるその顔に、
俺は安堵し、自然と笑顔になる。
具合が悪くても、周りを笑顔にしちゃう...、
それこそが、
彼の最大で、
そして、
最悪の武器、
なのかもしれない。