第20章 君が好きだから
そんな中、
事件は起きた。
5人でのバラエティー番組、
収録後の楽屋。
俺と翔ちゃんは、
二人一緒に事務所に呼ばれた。
メンバーも、俺たちの様子を
伺っている。
......何だろう?
翔ちゃんと顔を見合わせたけど、
ちょっと見当がつかない。
俺たち二人は、マネージャーの
運転する車で、事務所に行った。
通された社長室、
社長はいなかったけど、
副社長が、
難しい顔で、俺たちを迎えた。
チーフマネージャーもいて、
これは、ただならぬこと...
と、俺たちは目くばせし合った。
緊張する俺たちの前に、
数枚の写真を出してきた彼女は、
見せながら、ため息をついた。
その写真は、
俺と翔ちゃんが
手を繋いで歩いているものと、
一緒にマンションに入っていく写真。
......これは...
「あなたたちが同棲している、
同性愛者だっていう記事に、
付くはずだった写真よ...」
「えっ!?」
俺たちは、驚いて同時に声を上げた。
「どうなの?」
「この記事は...」
翔ちゃんが不安そうに聞くと、
「止めたわよ...当たり前でしょ!
こんなの出たら、致命的よ//」
.........
何も答えない俺たちに
もう一度、彼女は言った。
「付き合ってるの?二人は..」
射るようなその目が、
彼女の苛立ちを表しているようで、
俺は何も言えなくなり、
翔ちゃんの横顔を、
そっと盗み見た。