第4章 最後の言葉
でも、その肩を抱いてやることは、
今の俺には出来なかった..。
心の中で、何度も『ごめん』と繰返し、
俺はただ、
潤の肩を、見ているしか出来なかった。
どのくらい、
そうしていただろう。
「翔ちゃん?大丈夫~?」
さすがにおかしいと思ったのか、
ニノがドアの外から声を掛けてきた。
鍵が掛けられていて、
開かないのだ。
潤が、
顔を反らせたまま、俺の横を掠めて、
シャワールームに入っていく。
すれ違い様に、
「..話してくれて、ありがとう...
これで、前に進めるよ...」
と言った。
俺が何か言おうとしたときには、
潤はもう、シャワーを頭からかけていた。
シャワールームの鍵を開けて出ていくと、
入り口で、心配そうなニノが待っていた。
「翔ちゃん..大丈夫?松潤、行ったよね?」
中の様子を伺うニノの頭を、
くしゃっと撫でて、
「ほんとに、何もないよ...」
そう言って、精一杯笑った。
そんな俺の顔をじっと見ていたニノは、
「そう。...それなら、いいけど。」
と笑った。