第17章 HAPPY HELLOWEEN!!
寂しくて、泣いてたのか...
指の腹で、そっと涙の痕を拭うと、
彼はゆっくりと目蓋を上げた。
「ただいま...さとし..」
「しょお...ちゃん...?
........あっ!!」
智は慌てて熊の頭を探して被り、
「Trick or Treat!!」
と叫んだ。
...........
何も答えない俺の反応に、
小首を傾げる青い熊を、
俺は、力いっぱい抱き締めた。
「智!ごめん!...
待っててくれたのに..」
腕の中で、俺に身を預けながら、
「起きて待ってなくって、ごめんね..」
そう言ったんだ///
俺はもう、胸が苦しくて、
たかがハロウィンと思って、
待っている智の気持ちなんて、
全く考えなかった自分に、
そんなバカな自分に、
腹が立って仕方なかった。
.......青い熊が、
もぞもぞと腕から逃れようともがく。
熊を...しかも青い熊だ。
それを抱き締める、
間抜けなドラキュラ.....
腕の力を抜くと、
熊はやっと離れて、頭を外した。
「はぁ...これ結構苦しいね~」
無邪気に笑う君に、
「遅くなって、ホントにごめん!
俺は、どうしたら、許してもらえる?」
やっと吐き出した言葉に、
「許すってさ。怒ってないし、
それに、そんな顔、ドラキュラじゃないよ!」
笑う彼を、もう一度引き寄せて、
額にそっと口づけた。