第3章 誘惑の甘い罠
当然、それを一番近くで見ている他のふたりも、
俺たち3人の異変には気付いていた。
相葉くんが、意を決したように、
「ねえ、翔ちゃんたち、どうしちゃったの?」
と聞いてきた。
「どうしたって...何が?」
相葉くんが、言いたいことは分かっていながら、
俺はあえてスマホをいじりながら言った。
潤が泣いていたこと。
見ていられない程元気がない...と。
「ニノと、付き合ってるの?」
埒があかないと思ったのか、
いよいよ直球で切り込んできた。
俺は真っ直ぐに相葉くんの顔を見て、
「そうだよ。」
と、一言だけ答えた。
「そうだよ、じゃないよ!」
彼が俺に詰め寄ったその時、
楽屋のドアが開いて、潤が入ってきた。
一瞬で静まり返る室内...。
たただならぬ雰囲気を感じたのかもしれない。
彼は、努めていつもの感じで、
「おはよう。今日、この後、コンサートの打合せ入ったよ。」
と笑った。
その笑顔に、俺の胸は苦しくなる。
こいつのこと、
俺は傷付けてしまったんだ。
───────俺は、
サイテーだ。
もう、元には戻れない.....。