第15章 おいでよ、愛しい人…
そうしてても仕方ないし、
入るなと言われて、
なぜか、強引に押し入れない俺は、
また、リビングに戻った。
缶に残ったビールをあおりながら、
テレビをつけると、
丁度『ニノさん』をやっていた。
...ニノも、頑張ってるな...
なんて、思って観ていると、
智が、寝室から出てきた。
気配を感じて振り向くと、
後ろから急に抱き着いてきて、
「お待たせ!翔ちゃん♪」
と言った。
首に回された両手が、温かくて、
ホッとしたのは、言うまでもなく...
緩んだ顔を、立てなおしつつ、
「寝たんじゃなかったの?」
と聞くと、
「ちょっと来て♪」
智は、俺の両手を引いて、
寝室に連れて行く...
(...そんな..いきなり..
..まあ、待ってはいたけどさ...)
「ジャ~ン!」
寝室に入るなり、
壁を手のひらで見るように言う彼...
......
...これ......
「翔ちゃんだよ。...どうかな~?」
壁には、2枚の絵が飾られていて、
1枚は、肩から上の、俺の顔。
こっちを真っ直ぐに見ている。
...俺だ。
これは、誰が見ても、
どっから見ても、紛れもない、
『櫻井翔』だ。
そして、もう1枚。
後ろ斜め45度くらいからの、
俺の全身...
もちろん、全裸の...
(...マジか..これ..
..リアルすぎて...テレる..)