第15章 おいでよ、愛しい人…
その日の仕事終わり。
智が、荷物を取りにマンションに
行くというので、俺もついて行った。
智の部屋を訪れるのは、
久しぶりで...
相変わらず、油絵の具の匂いがした。
「その辺、適当に座っててよ」
「うん...」
智が、探し物をしている間、
俺は、リビングで、
大きなキャンパスの前にいた。
そこには、当然と言えば当然だけど、
智の絵が....
.....あのさ、この絵..って..
..........
「翔ちゃ~ん、お待たせ♪行こっか?」
「智....この絵さ..」
「あ~..よく分かったね!
それ、翔ちゃんだよ❤」
「俺...」
「ちょっと似てるでしょ?目とか...」
.....目とか...ってさ。
俺は、キャンパス一面に描かれた
子どもの絵を見ていた。
ちょんまげ姿の、裸の...
やっ、裸ならまだしも、褌って...
俺とは、似ても似つかない、
ちょっと太った子どもの絵は、
俺のことを上目遣いに、
じっと、見つめる。
....そっ..そんなに、見るな////
「これの、どの辺が俺か、
説明してもらおうか...?」
ヤバイ..ショックで声が、
上擦る..。