第13章 ふたりなら、きっと…
健くんの信じられないお願いは気になったが、
ジョークだったと思うことにした。
その夜....
珍しく智がパソコンを見ていた。
食事の仕度ができたので、
....と言ってもこの日は、
デパ地下で購入したお惣菜がほとんどで、
温めるだけだったが。
何を熱心に見ているのか興味があって、
気配を消してそっと近付くと...
音楽が流れていて、
画面には俺と智の写真が....?
その下には、
『もう離さないよ...』の文字と、
ベットで抱き合う写真。
これ、俺たち??
「何、これ?」
不意に声を掛けると、智はビクッと飛び上がる。
「驚くじゃん!」
「何見てるのかと思って」
すると智は、立ち上がって
俺の手を引いて強引に椅子に座らせ、
当然のように
その膝の上にちょこんと腰かけた。
「これさ、誰だか知らないけど、
YouTubeにアップされてたの(^^)」
見れば、見覚えのある雑誌などの写真を
上手くつなげて、
俺と智が、
『デキてる』というストーリー仕立ての動画。
「へえ~...それらしく作ってあるね~」
「ね?ちょっとびっくりだよね。」
そう言いながら、智は少し嬉しそうに見える。
タイトルは『山、これからもずっと...』
だそうで。
ただ写真を繋げて編集しただけなのに、
なんだか、ドキドキしてしまう。