第13章 ふたりなら、きっと…
正直、
面倒くさいと、思わないこともない...
でも、
それよりも、そんな彼を、
『可愛い❤』って思ってしまう俺は、
相当重症だな...と思う。
降りてこようとしない彼に、
もう一度運転席に乗り込み、
抱き寄せようかと思ったまさにその時、
誰も乗っていないと思っていた
ひとつ隣に停まっていたワンボックスの、
後部座席が開き、
三宅健くんが降りてきた。
えっ!?
もしかして、ずっと、見てたとか...!?
「けっ、健くん!」
「おー、櫻井!おはよー♪
そっちは、大野?」
拗ねてた智も、慌てて車から出て、
「おっ、おはようございます!」
焦ってさ。
『ヤバい』って、顔に書いてある。
おたおたする俺らに、
「今日、よろしくね!
行こっか?」
......
あれっ?
健くん、見てなかったのかな?
先に歩き出した先輩を追いかけようと、
俺と智は、慌てて車から荷物を出す。
そんな俺たちに、
少し先から、振り返って健くんが
飛びっきりの笑顔で言った。
「あっそうそう。
車の中は、気を付けないと、
見られちゃうよ♪」
「........」
「.......」
.....やっぱり。
ガッツリ見てたんだ、あの人。
智は、どーしよ?って顔して俺を見た。