第12章 君の全部を教えて...
撮影に入り、ニノは監督さんと動きなどについて、話している。
俺は、少し後ろから、話を聞きながら、
ニノの横顔を視界の隅に置いていた。
多分、4人の中で、
翔ちゃんのこと、1番わかっているのは、
この人なのかもしれない…
そう思うと、胸が少し苦しかった。
打ち合わせをしていると、
スタジオの奥から
翔ちゃんの笑い声が聞こえて来た。
おじいちゃんの家に寄っていた相葉くんが合流して、
ふたりと話している。
....翔ちゃん、涙流して笑っている。
何がそんなに可笑しいのかな?
そう言えば、最近、
俺と二人の時、翔ちゃんは、
あんなに楽しそうに、笑ってるかな~....
そんなことを思うと、
もう俺はいたたまれなくなって、
3人から目を反らせた。
...なんか、今日、俺、変だ。
いつも考えないようなことばっかり、考えてる。
「な~に、この世の終わりみたいな顔してんの?
さあ、撮るよ!」
「あぁ、うん」
気持ちを切り替えて、俺はニノとの撮影に集中した。
背中を向けていても聞こえてくる、
相葉くんと翔ちゃんの笑い声。
俺は、ギュッと目を瞑って、それを追い出した。
ニノは、そんな俺のこと、
何も言わずにじっと見ていた。