第12章 君の全部を教えて...
その日の撮影は順調で、
ほぼ時間通りに終了になった。
ロケバスに乗り込む前に、相葉さんが、
「この後さ、俺の実家で飯食っていかない?
通り道と言えば、通り道だし」
すると、翔ちゃんと潤くんが、
「行こうぜ~、親父さんの麻婆豆腐、
食べたくなったし♪」
「あと、エビチリ!」
「いいねえ~!」
ふたりとは、すっかり話が決まっていたみたいだ。
「おじさんも、行くでしょ?」
ニノが、肩を組みながら俺の耳元でそう言った。
「うん。そうだね」
ニノは、そのまま俺の頬っぺたを
ぎゅうとつねってバスに乗り込んでいく。
「痛いよ~(。>д<)」
俺もその後に続いた。
後からワイワイしながら、
3人が乗ってきた。
真ん中辺に一人で座っている俺に、
気づいた翔ちゃんが、
一瞬、『あれっ?』という顔をしたけど、
すぐさま笑顔になって、
「ちょっと、智は、こっちでしょ~!」
と、俺の手を引っ張って、奥に連れて行く。
.......
そう。
いつもは、一番奥の左側に、
俺は、翔ちゃんと並んで座る。
そこが定位置だから。
彼の横に座ると、バスは動き出した。
すると、翔ちゃんは俺の顔を、
覗き込んできた。