第11章 心のささくれ治すのは
俺の呼びかけに、
聞こえないかのような彼は、
膝を抱えて、その上に顎をちょこんと乗せて、
テレビを見ている。
それは、その日録画した、俺のドラマ。
収録と重なり、
タイムリーで見るのが難しいから、
智が、毎週録画にしている。
「ねえ、智ってば!こっち来いよ。
一緒に観ようよ...」
「......この娘、綺麗だね。
見れば見るほど、可愛い...」
「...なんだよ。その棒読み...」
俺はそう笑いながら、
彼の後ろからその身体を抱えて座った。
すると彼は、顔だけ俺に向け、
「可愛いって、否定しないんだね」
と睨んだ。
......兄さん...
あなた、そのやきもち、露骨すぎますけど...
俺は、そんな智が、
可愛くて仕方ないけど、
そこは、敢て、
「だって、綺麗だし、可愛いことは、
否定しないよ~?
誰が見たって、そうでしょ...
目なんか、吸い込まれそうな程、
大きいしね~」
「......吸い込まれたんだ...」
「はあぁ??」
「吸い込まれたから、高級レストラン、
ふたりで行ったんだ///」
はい、きた~(*´-`)
そこね。
そうだと思ったよ。
俺はもう、拗ねて見せる彼が、
可愛くて仕方無い。
...こんな、可愛い生き物、他にいる~??