第10章 My sweet darling
深夜1時過ぎ、翔ちゃんが帰ってきた。
「あっ...お帰り~」
テレビ画面に目を向けたままの俺に、
「またそれ、観てんのかよ...」
ため息と一緒にそう言うと、
俺の側に来て、ソファの後ろから、
俺を抱えるように座った。
「うん♪」
「何度目だよ...」
呆れたような彼の声に、俺はやっと振り返り、
チュッと軽いキスをして、
「お疲れ様」
と改めていった。
すると翔ちゃんは、目を細めて笑い、
「あのメールも...
もうちょっと労ってほしいわ」
俺は、また画面の踊る翔ちゃんを観ながら、
「ずっと、観てたよ❤」
そう言いながら、
俺の背中に密着する彼にもたれ掛かった。
「今日も、カッコよかった♪」
「そーいうの、ちょうだい!!」
俺たちの、月曜の夜のお決まり事みたいな
戯れを暫し楽しむと、
画面の翔ちゃんが、振りを間違えた。
「もうやめろよ」
リモコンで止めようとする翔ちゃん。
「だって。可愛いんだもん、
一生懸命なのに、
何だか動きがぎこちなくって、
あたふたしてるの。」
「智...俺のこと、絶対バカにしてるでしょ?」
そんなこと言いながらも、
彼の口調は優しく、笑っている。