第2章 裏切りの夜
「やめてよ...女の子とか、男の子とか、
そんなの関係ないよ!!
俺は、しょおくんが、好きなんだ!」
「...でも、潤...、人前で、その...
俺ら、一応..アイドルだし..」
歯切れが悪い俺に、彼は必死にしがみつく。
「ごめんなさい..もう、人がいるとき、
腕組んだり、しないから...」
........
大きな黒い目から涙を溢しながら、
一生懸命訴える
潤に、
俺は、それ以上何も言えなくなってしまい、
「分かった...分かったから...
もう、泣くなって...」
彼の背中を抱き寄せると、
それは、気の毒な程に震えていて、
俺は、強く抱き締めるしかなかった。
その話は、それ以上できなくなったが、
仕事のときや、人前で、
潤は、必要以上にベタベタしてこなくなった。
そして、
俺は、気付いていた。
潤に、
一度も、
『好きだ』と言ってやったことがないこと。
彼の『好き』に、
『うん』としか、
言わない、自分のこと。
この先も、言うつもりは、
ないということに、
もう、ちゃんと、気がついていたんだ。