第8章 君のとなりで
液体を流し込んだ後も、
今度は離さなかった。
何度も、
角度を変えてその柔らかい唇を啄んだ。
上唇を軽く吸い、
下唇を俺の唇で何度も挟んで、
そっと噛むと、
「...んんっ///」
智くんは堪らないとばかりに、
甘い声を、漏らし、隙間を開けて俺を誘った。
その温かい咥内に舌を送り込むと、
彼の舌を追いかけ、絡めとった。
キスだけで、
こんなに胸が苦しくなるのは、
高校生のときのファーストキス以来じゃないかな?
頭の隅で、そんなことが過ると、
俺はもう、先へ先へ、
智くんが欲しいという気持ちが溢れだすのを
抑えられなくなっていた。
それは、彼も同じなのか、
俺の腰に両手を回し、
俺にその細い腰を押し付けて来た。
俺の舌は、本能の赴くままに、
彼の舌を吸い上げ、絡め、
咥内を激しく動き回る。
すると、彼は、甘い吐息を漏らしながら、
俺の頭に片手を回し、
更に深くなるように唇を押し付けて来た。
...その時、
そう...。
この時になって初めて、
『俺は、智くんのことが、
こんなに好きだったんだ』
と気付いた。
お互いに、酸素が足りなくて、頭の奥が痺れてくる。
「..はあぁ.....」
彼を離し、その背中を折れるほどに抱き締めると、
「翔ちゃん、好きだよ」
智くんは絞り出すように、そう言った。