第8章 君のとなりで
「俺と、ずっといるってことは、
俺の『好き』を受け入れてくれた、
と思ってもいいのかな~?
俺は、翔ちゃんが好きだから、
この先も一緒にいたら、期待しちゃうよ。
それでも、いいの?」
それが、何を意味しているのか、
智くんの期待に応えるということ。
俺の、
答えは、
答えは......
俺は、黙って智くんの隣に行くと、
シャンパンを口に含み、
彼の顎を上向けた。
目を見開き、
少し驚いた表情をした智くんも、
俺の唇が近づいていくと、
ゆっくりと、
目蓋を下ろした。
彼の艶やかな唇に、
静かに、俺の唇を落とした。
初めて触れた智くんの唇は、
少しだけ震えてて...
俺は、すっかり気の抜けたシャンパンを、
彼の方へ移した。
震えるそれをゆっくり離すと、
彼はゴクリと音を立てて
気の抜けた液体を飲み込んだ。
今にもこぼれ落ちそうに、
涙を湛えた瞳を見つめながら、
「シャンパン、どう?」
と聞いてみた。
すると智くんは、
俺の腕をギュッと掴み、
「わかんないよ。もう一回」
と言った。
その瞳が、
さっきまでとは別人のように艶めいて俺を誘う。
俺は、もう一度、
シャンパンを口に含んだ。