第8章 君のとなりで
「ねえ、翔ちゃん。
ひとつ、聞いておきたいことがあるんだ。
翔ちゃんはさ、
『俺が、ずっと、翔ちゃんのこと、好き』
だったって、知ってて言ってるの?」
「えっ!?」
「言っとくけどさ、
俺なんて、ずっと前...、
松潤と付き合う前から、
翔ちゃんのこと、好きだったんだよ。」
智くんの告白は、俺にとっては衝撃だった。
嫌われてはいないだろうとは思ってたけど。
「でも、叶うわけないから、
忘れようとして、飲み過ぎて、
失敗ばっかりしてさ...。」
「智くん...」
それは、俺のせいではないと、
驚くほどに涼しい顔で、彼は言うんだ。
俺が、ニノや雅紀と付き合っているときも、
俺のことが好きだという気持ちを、
閉じ込めていた。
...と。
「だから、翔ちゃんが今回のことで、
俺の側にいてくれるのが、
嬉しかったけど、複雑だったんだ。」
「だって、俺の気持ちと、
翔ちゃんの気持ちは、
最初っから違うんだから。」
もう、
困ったような、
不安な智くんはどこにもいなくて、
俺は、
この立場逆転劇に戸惑いを隠せないわけで。
「.......」
どうやって、言おうかと、
必死に頭の中を整理している俺に、
彼からの、とどめの一言が言い渡される。