第8章 君のとなりで
「智くん。
俺たちさ、これからも一緒に暮らさないか?
これは、そのために用意した、
俺と智くんの分。
今までは、間に合わせだっただろう?」
「...翔ちゃん?」
「これからも、
俺は、智くんの側で、智くんと同じ景色を見て、
同じ時間を過ごしていきたい。
いきなりこんなこと言うの、
変だし、びっくりすると思うけど…」
俺は、ドラマの撮影が終わったら、
彼は、俺のマンションから、帰るつもりだって、
なんとなく分かっていた。
でも、まだ、一人だと眠れない彼を、
お酒さえ受け付けない彼を、
一人になんかできるはずない。
『だったら、いつまで?
元気になるまで?
呑めるようになるまで?』
...そうじゃない...
俺は、もうこの先も、
ずっと彼を隣で守っていきたいんだ。
智くんを傷つける全てのものから、彼を守りたい。
もしも傷ついたら、俺が癒してやりたい。
俺は、智くんのそんな存在になりたいんだ。
「...翔ちゃん..あの...」
「あなたが、イヤだって言っても、
俺は離れないからね?」
俺を見る彼の目は、
どこまでも、澄んでいて、透明だった。
「翔ちゃん、でもさ」
「でもとか、だけどとか、
そんなのは受け付けないよ!
俺が決めた。智くんは、
黙って頷くだけでいいから...」