第7章 慟哭の夜に
その静寂の隙間に、
智くんに声を掛けた。
「お腹すいてる?」
「うん...俺はあんまり。翔ちゃんは?」
「そうだな~...俺も、そんなには..。
でも、なんか適当に、持ってきてもらうよ。
智くん、シャワーしちゃえば?」
彼は、目を細めて笑い、
「うん、そーする。」
と言った。
智くんが、バスルームに消えると、
俺は、持ってきたものを準備し、
ルームサービスを頼んだ。
........
テレビを付けてみたけど、
騒がしいその感じが、
なんか違う気がして、直ぐに消した。
この日を、
ずっと待っていたのに、
俺は、妙に緊張している自分が可笑しかった。
『しっかりしろ!!櫻井翔!
失敗は、許されない....。
こうするしか、ないって....そうだろう?』
賽は投げられたんだ。
後は、自分を信じて、
気持ちのままにぶつかるしかないんだ。
だから、今は...
「お先に~。」
急に現れるから、
俺は、3秒くらい心臓が止まったかと思った。
「翔ちゃんも、シャワーするでしょ?
すごいよ...夜景見ながら、
ジャグジーも入れるよ。」
バスローブ姿の智くんに、
ドキドキしながら、
俺も、バスルームに逃げた。