第7章 慟哭の夜に
そんな毎日が続き、
人の噂も何とか...とは、
よく言ったもので、
反応のない相手をいつまでも叩くことにも、
世間は直ぐに飽き、
人々の興味の対象は、次へと移っていった。
智くんのドラマも終わり、
その演技力が、高く評価されると、
回りの人たちも、
手の裏を返したように、
彼を持ち上げた。
ドラマの役作り、と思われたかもしれないが、
智くんは、見た目にも痩せて、
精悍さに磨きがかかり、
ドラマの主人公の心情とリンクしていった。
俺は、ただ、
彼の近くで、その時が来るのを、
静かに待っていたのかもしれない。
そんな中、
智くんは、謙虚で、控えめな態度を貫いた。
そんな天狗にならない彼を、
また、周囲は褒めそやしたが、
本当は、きっと、
早く人々の注目から、
一刻も早く逃れたかったんだ。
スポットの当たらないところに、
その身を隠してしまいたかったのかもしれない。
そして、
ドラマの打ち上げの夜。
彼と連絡を取り合っていた俺は、
頃合いを見計らって、
二次会の会場に、
智くんを迎えに行った。
斗真とも話は付いていたので、
俺が着くと、
会場の外に、智くんを連れてきてくれた。