第1章 プロローグ
坂田さんと新八くんが玄関へ入ると、新八くんがスリッパを出してくれたので、パンプスを脱ぎ、スリッパに履き替える。
「お邪魔します…」
2人の後に続いて中に入ると、見たことないほど大きな白い犬と、チャイナ服を着た可愛らしい少女がいた。
「おはよう、神楽ちゃん、定春。」
新八くんが2人に声をかける。
「新八ぃ、お腹空いたネ。早く朝ご飯つくるヨロシ。てか銀ちゃん、後ろの人お客さんアルか?」
【神楽ちゃん】と呼ばれた少女が私の顔をじっと見つめてくる。
「はじめまして。桜井こはると申します。」
すると、神楽ちゃんが私の元に飛んできた。
「こはるちゃんいうアルか?めっさ可愛いネ!こっち来て座ってヨ。おい新八!早くこはるちゃんにお茶入れるヨロシ!」
「はいはい。こはるさん、よかったらそちらにかけてゆっくりしててください。」
そう言って新八くんはソファーに座るよう促して台所へ消えていった。
私は神楽ちゃんに腕を引かれ、そのまま隣に腰掛けた。坂田さんはテーブルを挟んだ向かい側のソファーに「よっこらせ」と言いながら座っていちご牛乳を飲んでいる。
そして、その隣で姿勢よく座ってお茶を啜っている長髪の男性と白い布を被った大きなペンギンのような…ってあれ?この人たちいつからいた?
「おいヅラ、なんでお前がいんだよ。」
「ヅラじゃない、桂だ。」
すると、隣にいた大きな白いペンギンのようなものがぬっとプラカードを掲げた。
【大丈夫、今来たところ】
それに対し
「何が大丈夫?!何も大丈夫じゃねえだろうが!何しに来たんだお前ら!」
と大声で怒鳴りつける坂田さん。
よくわからないけれど、どうやらこの方々は坂田さんの知り合いらしい。
「いやなに、腹が減ったのでな。朝食をと。」
「なぁにが朝食だ!お前らに食わす飯なんかねぇよ!」
「そうネ!こちとら来客中で忙しいアル!邪魔者はさっさと帰るネ!ね、こはるちゃん!」
相変わらず綺麗な姿勢でお茶をすする桂さんに対し、坂田さんと神楽ちゃんは大激怒である。