第6章 嫉妬2
「土方さん、まだ熱あるんじゃないですか?横になって休んでください。」
ちょっと失礼します、と言って私は土方さんの額に触れた。少し汗ばんでいる額は、まだ自身の手のひらより熱かった。
「ん…お前の手、冷たくて気持ちいい。」
そう言って土方さんは気持ち良さそうに目を閉じた。
そんな彼を私はそっと布団に寝かせ、固く絞った手ぬぐいでその少し汗ばんだ額を優しく拭った。
「ご飯は食べられそうですか?雑炊とゼリーもありますよ。」
「ん、食う。腹減った。」
「ふふっ。わかりました。すぐにお持ちしますね。」
"鬼の副長"なんて呼ばれている普段の様子からは想像できないような穏やかな表情で横になっている土方さんがなんだか可愛くて、私は思わずニヤついてしまった。
***
厨房に戻ると、隈無さんの指示の元、1番隊の隊士の方たちがテキパキと配膳の用意をしていた。
「すみません、丸投げしてしまって。」
「いやいや、こはるさんが細かく段取り決めてくださってたおかげでこちらはスムーズにいきましたよ。ありがとうございます。それはともかく、副長のご様子はいかがでしたか?」
そう言って、サラダに添えるゆで卵の殻を剥きながら、隈無さんが心配そうに私を見た。
「まだ少し熱があるんですけど、食欲もあるようですし、しっかり休めば大丈夫ってお医者様が。働きすぎなんですよ土方さんは。たまには休まなきゃ。」
1人用の小さな土鍋に入った雑炊を温めながら、冷蔵庫を開けてゼリーを取り、マヨネーズ…
(いやでも、さすがに体調悪いときにマヨネーズはないよな…。でも土方さん、ご飯はマヨネーズ食べるための道具とか思ってそうだしな……うーん……)
迷った結果、私はゼリーと一緒にマヨネーズも盆にのせた。