第6章 嫉妬2
先生が帰り、近藤さんに様子を見てもらっている間、私は急いで夕飯の支度をしつつ、ついでに土方さん用に雑炊とりんご酢でゼリーを作った。
「こはるさん、後は私たちでできますから副長についててあげてください。」
そう言ってくれたのは1番隊の隈無清蔵さん。
かなり綺麗好きな方で、料理も手際がいい。
彼が居てくれるなら厨房は安心だ。
「隈無さん、ありがとうございます。それではお言葉に甘えて後はお任せしますね。」
***
「失礼します。」
「おお、こはるさん!すまんな、忙しいときに。」
土方さんの部屋の前で声をかけると近藤さんの声が聞こえた。
障子を開けると、土方さんは起き上がっていた。
「土方さん、目が覚めたんですね。よかった。」
「あ、ああ。迷惑かけたな。」
「いえいえ。私は何も。」
まだ体が辛いのだろう、土方さんは額に当てていた手ぬぐいを手にしたまま一点を見つめていた。
「じゃあトシ、俺はもう行くから。こはるさん、悪いが後は頼んだよ。」
「はい!」
「近藤さん、すまねぇ。」
土方さんがそう言うと、近藤さんはニッと歯を見せて笑い、たまにはゆっくり休めよ、と言い残して部屋から出ていった。