第4章 甘い約束
次の日、今度は土方さんから話があると呼び出された。
部屋に通され、机を挟んで向かい合って座る。
「悪ぃな、仕事中に。」
「いえ、大丈夫ですよ。もう終わりましたから。」
そう言うと、土方さんが通帳と印鑑を私の目の前にスッと差し出した。
よく見ると私の名義になっている。
「昨日とっつぁんから預かった。渡すのを忘れてたんだとよ。ついでに、今月分の給料それに入れてあっから、後で記帳にでも行ってこい。」
「わぁ!ありがとうございます!」
私はありがたく通帳を受け取った。
「色々と欲しいもんもあっただろ。悪かったな、ろくに休みもやらずに。今度から土日は食堂休みにするから、お前もたまには遊びにでも行ってこい。」
ここに来てから、最低限の衣類と化粧品は最初に支給してもらったものの、女性ならではの消耗品も色々と必要なわけで、それをどうしようかと悩んでいたところだったので、正直とても嬉しい。
「ありがとうございます!さっそく午後から出かけてきます!」
「ああ。携帯も忘れずに持って行けよ。」
「はい!」
私は最高の気分で土方さんの部屋を出た。
***
午後2時。
仕事も一段落したところで銀行へやってきた。
さっそく通帳をATMに通して記帳してもらうと、思っていた以上に入金されていた。
しかも、元いた世界で貰っていたお給料とは比べ物にならない金額だった。
これは絶対警察庁長官の私情が絡んでいる。
私は心の中で苦笑いしつつ、今度お会いできたときになにかお礼をしようと心に決めたのだった。