第4章 甘い約束
松平片栗虎。警察庁長官。
どう見ても警察というよりも警察のご厄介にならなければならない風貌だが、会ったこともない私のために己の権力を駆使して色々としてくれる親切な人だ。
「こんな素性もよくわからない人間に、こんなに良くしていただきありがとうございます、松平様。」
そう言って頭を下げれば、
「んな『様』なんて言わないでよーねぇこはるちゃん。ちょっと1回『パパ』って呼んでみな。」
「へ?!パ、パパ?!」
あまりにも突然のことに驚き顔を上げると、松…パパは満足気にニヤリと笑った。
「ああそうだ。だからしてぇ、困ったことがあればなーんでも、パパに相談しなさいね。はいこれ。」
そう言ってパパは私に小包を渡してきた。
「これは?」
「開けてみな。」
私は言われるまま包みを開けた。
すると、
「これ、もしかしてスマホですか……?」
「なにかあったらそれでいつでも連絡しなさいよ。登録はしてあるからね。それじゃあパパはもう行くから。」
「あ、あの!ありがとうございます!」
慌ててお礼を言うと、パパは背を向けたまま片手をあげて去っていった。