第3章 春の匂い
「…なるほど、それでそんなことになってたってワケですかィ。」
「紛らわしくてすみません…」
なんとか誤解を解き、着替え終わった(もちろんそのまま俺が着付けた)こはるは正座して真っ赤な顔で俯いていた。
「そういやこはるさんはどこか出かける予定だったんですかィ?」
「あ、その、実は…本屋に行きたいなと。」
どうやらこはるは俺たちの食事の献立を充実したものにする為に、なにか良い本がないかと考えていたらしい。
「できれば前もって献立がわかっていれば食材の仕入れとか助かるでしょう?それに、真選組の皆さんは体が資本のお仕事ですし、栄養のバランスがとれた美味しいご飯を食べて欲しいんです。」
確かに前もって食材の注文ができれば、隊士達を買い出しにやる手間も省けるし、経理的にもかなり助かる。
しかし、本で調べながら一から献立表を作るとなるとかなり大変なのではないか。
「欲を言えばパソコンさえあれば…あ、私の元いた世界ではパソコンという機械で色々調べ物をしたり、書類を作ったりしていたんですけどね、」
「あ?パソコンならあるぞ。お前使えんのか?」
そう聞くと、こはるはいきなり目を見開き、
「パソコン!!あるんですか?!」
とかなり食いついてきた。