第3章 春の匂い
こはるに呼ばれ障子を開けると、そこには下着の上に着物用の薄い肌着を着ただけの彼女がいた。
「ちょ、おまっなんつー格好してんだ!服着ろ服ッ!!」
「着てるじゃないですか!」
「それは肌着だ!!」
肌着の下の黒いレースの上下お揃いの下着と、そこに包まれる豊満な体が透けて見えていた。
初めてあった日も靴を履こうと屈んだときに胸元が見えていたが、そのときも黒だった。……って、何を思い出しているんだ、俺は。
「ええっ?!そうなの?!やだ、すみません!」
慌てて腕で体を隠そうとするが、そうすれば胸が内に寄ってさらに艶めかしくなる。
俺は慌てて脱ぎ捨ててあった長襦袢を着せた。
「あ、ありがとうございます…」
そう言って恥ずかしそうに俯くこはるは耳まで真っ赤になっていた。
そして、目の前には色白の綺麗なうなじ。
そこに誘うように香る桜の練り香水。
思わずゴクリと生唾を飲む。
「こはる……」
俺はそのまま吸い寄せられるように後ろから抱きしめて首元に顔を近付け……
スパァン!
「土方さーん。追加の書類持って来やしたー。あれ、部屋間違えちまった。」
勢い良く開けられた障子の向こうに書類片手にキョトン顔の総悟。
「なにやってんでィ土方さん。遊んでる暇あるなら仕事しろよな。」
こはるは真っ赤な顔して口をパクパクさせている。
「ち、ちちちち違うからね?!てかお前に言われたくねーんだよクソがッ!!!」