第2章 桜色の夜
「それでは、桜井こはるさんの歓迎会を始めたいと思いまーす!!カンパーイ!!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
午後8時。
近藤さんの声に合わせ隊士達が盃を掲げる。
本日の主役であるこはるは近藤さんの隣にちょこんと座り、控え目に盃を掲げていた。
目の前には「今日だけよ」と言って来てくれた前任の女中であるウメさんが、友人たちも誘って用意してくれた綺麗に盛り付けられた食事。
きちんと手を合わせて「いただきます」と言ってこはるは煮物に手をつけた。
「……!!美味しいっ!」
大きな目を更に見開き、口に手を当て感動しているこはるを見て思わず笑ってしまうと、
「土方さん!ウメさんのご飯、とても美味しいです!」
と笑顔を向けてくる。
「よかったな。」
「なーにが、『よかったな』ですかィ土方死ねコノヤロー。」
総悟がフッと笑った後、苦虫を噛み潰したような顔で「ケッ」と吐き捨てるように言った。
「あぁ?!一々突っかかってくんじゃねェクソガキ!ってオイ!無視ィ?!」
総悟は自分から突っかかっておきながら、俺の存在を無視し、こはるの隣にドカッと胡座をかいた。