第2章 桜色の夜
風呂敷を抱えて屯所に戻ると、既に近藤さんと総悟が戻っていた。
「近藤さん、アイツぁどうした。」
「アイツ…?ああ、こはるさんのことか?こはるさんならトシの隣の部屋が空いてたから、そこに居るぞ。」
「そうか。ちょっと様子見てくるわ。」
俺はさっき呉服屋で買ったものを渡すべく、自室の方へ向かった。
途中山崎がいたので声をかけると、最初に俺が持たせていた金を封筒に入れて持ってきた。勘定方で領収をきってくれたらしい。
「手間かけさせたな。」
「いえ。こはるさんなら自室にいますよ。」
そう言って山崎は去っていった。
そのまま足を進めると、自室の隣の縁側に腰掛けて庭を眺める彼女を見つけた。
桜色の着物がよく似合っている。
「こはる。」
「土方さん。」
振り返った彼女の長い髪が風にのってサラサラと揺れた。
俺は黙って隣にドカッと座り、風呂敷をこはるに渡した。
「…これは?」
「開けてみろ。」
風呂敷を受け取り、不思議そうに首を傾げるこはるに、風呂敷を開けるように言うと、膝の上でスルスルと風呂敷の結び目を解いていく。
「わぁっ。綺麗…」
そう言って、うっとりと着物を眺める姿がとても綺麗だと思った。