第1章 プロローグ
3人が手伝ってくれたおかげで配膳はあっという間に終わり、長机にはご飯とお味噌汁、だし巻き玉子が並べられた。
「そういえば、こはるちゃんの分がないネ。」
神楽ちゃんが心配そうに私を見つめる。
「私の分は気にしないで、よかったら食べて。」
とは言ったものの体は正直なようで、沈黙を切り裂くように、ぐぅーっと私のお腹が鳴った。
恥ずかしさのあまり両手で顔を覆い俯いていると、コトリと私の前に何かが置かれる。
そっと顔を上げてみると、坂田さんがご飯とお味噌汁を私の前に置いたところだった。
「ま、せっかく作ってもらったんだ。お前も食えよ。」
「さ、坂田さん……!」
私はありがたく頂くことにした。
思えば昨日の夜から何も口にしていない。
周りの視線を感じつつ、4人でいただきます、と手を合わせる。
ドキドキしながら3人の口にだし巻き玉子が入っていく様子を気にしつつ、お味噌汁を一口飲んだ。うん、普通だ。
そして、チラッと3人の様子を見ると、3人とも一口食べて固まっている。
「す、すみません!もしかしておいしくなかっ……え?」
よく見ると、3人とも涙を流して固まっていた。
そして、次の瞬間、
「うまーーーーーいっ!!!」
「美味しいアルーーーーー!!!」
「うま!!!ちょ、コレうまっ!!!」