第1章 プロローグ
「とにかく、桂さんの言う通り、こはるさんの意見はちゃんと聞かないと。」
新八くんはそう言って坂田さんの隣に腰掛けた。
「桂ではない。宇宙海賊キャプテンカツーラだ。」
「そうだトシ、うちに来てもらうのはどうだ?」
「何言ってんだ近藤さん。あんなむさ苦しい男所帯、ここより大変だろ。」
「しかし土方さん、女中のウメさんが辞めてからというもの、俺らまともな飯食ってやせんぜ。」
沖田さんに言われて、腕を組んで悩む土方さん。
「こはるさん、うちはトシが言うようにむさ苦しい男所帯だが、部屋もちゃんと用意するし、給料もちゃんと出す。身元のことも、まあ、どうにかできるだろう。しばらくうちで女中として働いてくれんか?」
「えっ…と…」
近藤さんの言葉にその場にいる全員の視線が私に向けられる。
「あの…女中って、どんなことをするんですか?」
「まあ、メインでやってもらいたいのは食事の用意だな。住み込みで働いているやつが多いから、量も多いし大変だと思うが、何人か隊士を補助につけるから、どう?」
「なるほど…」
まぁ男と住んでた訳だし、しかもヒモだったし、家事スキルは最低限身に付いているとは思うが、果たしてそれがお金を頂くに値するレベルなのか。
「あの、一応家事は最低限それなりにできると思いますが、私の作る料理が皆さんのお口に合うかどうか…」
「なぁに、問題ないでさァ。土方さんなんか毎日犬のエサ食ってやすぜ。」
「おいコラそりゃもしかしてマヨネーズのこと言ってんのか。」
土方さんは刀に手をかけたまま沖田さんを睨むが、沖田さんは全く動じない。
すると、神楽ちゃんが思いついたようにポンッと手を叩いた。
「そうネ!こはるちゃん、朝ご飯作ってヨ!私、こはるちゃんのご飯食べてみたいアル!」
「えっ?!いや、私は全然いいけど…あの、ほんと、人様に振る舞えるような物じゃないと思うよ?」
実際ほぼ毎日料理は作っていたが、ヒモは最初こそ美味しいと言って食べていたけれど、そのうち味が薄いだ、濃いだ、量がどうのこうの、盛り付けがーとか文句ばかり言っていた。自信はあまりない。
「確かに朝飯まだだもんなぁ。このままだと銀さん飢え死にしそうだからなんか適当に作ってくんない?こはるちゃん。」
そう言って坂田さんはニヤリと笑った。