第1章 プロローグ
「しかしどうすんだ?行く宛てねえんだろ?こっちで働くにしろ身元がわからねえならろくでもねー仕事しかねえだろ。」
そう言って坂田さんは腕を組んで考え込む。頭には新八くんが用意してくれた氷嚢がちょこんと乗っている。
「銀ちゃん、私、こはるちゃんにここに住んでほしいアル。こんな可愛い子、外に出したらすぐ悪いオオカミに捕まってしまうネ。私、こはるちゃんと一緒に銀ちゃんの部屋で寝るから、銀ちゃん私の部屋で寝てヨ。」
神楽ちゃんはそう言って私の腕に絡みついてきた。
「お前の部屋って押し入れじゃねーか!無理だよ銀さん入んねぇよ!」
「神楽ちゃん、さすがにここにはもう無理だよ。こはるさん、うちは姉上と二人暮しなんで、姉上の許可が出れば、狭いし汚いところですが、部屋も用意できますよ。」
「そんなこと言って新八ぃ、お前こはるちゃんにいやらしいことするつもりアルな。それにお前ん家はゴリラのストーカーが出るから危ないアル。私といたほうが安全ネ!」
「ストーカーとはなんだ!俺は追跡者(ハンター)です!愛の!」
「ゴリラであることは認めんのな、近藤さん。」
「ちょ、トシィ!人の揚げ足取るのやめてくれる?!」
「つーわけで、死んでくだせェ土方コノヤロー」
「なんで俺ェェェェ?!?!」
「やめないか貴様ら。揃いも揃ってみっともない。少しはこはる殿の意見を聞こうとは思わんのか。」
私を置いてけぼりにしてワーワーやっている人達に対して一喝する声…まさか……
「桂さ「宇宙海賊キャプテンカツーラだ。」
「お前帰ったんじゃなかったのかよ!」
桂さんはどこから持ってきたのか、どこぞの宇宙海賊の衣装を身にまとい、ご丁寧に眼帯まで着けているが、どこからどうみても桂さんで、そんな格好で自分のことを追っている人の前に出て大丈夫なのか心配になる。
「あ?宇宙海賊?」
案の定、土方さんの視線がより鋭くなる。
「お前、何者だ?」
「だから、宇宙海賊キャプテンカツーラだ」
「そうか。」
えー。まさかのバレてないよ。
土方さん、もしかすると見かけによらずアホなのかもしれない。