第1章 短編集
=内臓共有と前世は嘯く=
アンドロギュノス
それは、とある神話に出てくる本来の人間の姿である
昔、人間は、 頭が二つに手足が四本づつあって、今の人間二人 が背中合わせにくっつい たような形でおりました。男と 男がくっついたもの、女 と女、そして男と女の組 み合わせの、三種類の人間がありました。この男と女が一体となっていた人間のことが、アンドロギュノス。
これらの最初の人間たちは、神も恐れぬ不遜な態度だったので、大神ゼウスによってそのからだを二つに裂かれてしまい ました。それ以来人間 たちは、かつての分身を 求め合って恋をするのだ といいます。
男と女が求め合うの は、もともと一つのから だに男女両性をそなてい たからというわけである。男と男、女と女で求め合うの は同性愛ということになる。
と、まあこんな記述を目にしたのは数日前の話。本を読んでいると偶然出てきたものだ。
「アンドロギュノス・・・ねぇ。運命のパートナーと再び出会えた人なんているのかねぇ」
ギシギシと椅子を揺らしながら独り言を言っていた
日本から来たマグル生まれのなまえ。ホグワーツに入学してレイブンクローに入った。何となくかっこいいからとスリザリンに入れてくれと組み分け帽子に頼んだら、マグル生まれは苦労すると言われた。なんでも酷い苛めに遭うとか。そんな事はまっぴらだと二番目にかっこいいからとレイブンクローを選んだ。
まあ、それは今となっては後悔しているのだが。
寮に入るにも問いに答えなければならない。その問いに答えられなければ、問いに答えられる人間に開けてもらうのも待つしかないし、一度問いに答えられなかったらクスクスと笑われたりする。流石、知性で選ばれるレイブンクロー。プライド高いわ。
毎度の様に問いに引っかかるなまえは、寮では腫れ物扱いされていた。お前は崇高なるレイブンクローの恥だと。
寮に友達なんて一人も居ない。他の寮も人が固まってて入る気にならない。図書室も、がり勉レイブンクローが使っているから読みたい本を借り出すだけにしていた。
ある日なまえは、必要の部屋を見つけた。これは一人で過ごすにはいいと秘密基地の様に使うことにした。
誰も来ないと高を括っていた。
あの日、彼が来るまでは