第1章 短編集
=白百合と虎百合。=
彼女を殺した
彼が好きな彼女を
緑の綺麗で憎い目から光を奪った
死の呪文ではなく
自分の手で彼女の身体を刺し、引き裂いた
殺した事を実感出来るように
これから向けられる感情への準備だ
目は奪い取って川に棄てた
身体は燃やした
これで彼は私に目を合わせてくれる
その目が
憎しみに
悲しみに充ちていても
なんでもいい
私が彼に復讐心を抱いた
彼が私に感情を抱いた
彼は私を殺してくれた
私の心を満たすほどに憎しみを込めた目で
感情を込めて
殺してくれた
彼が私に杖以外に何かを向けるのは初めてだった
目線も何も向けてくれなかったもんね
嬉しかった
私は溢れた涙に"嬉しさから来るものだ"と名付けた
似合わない名前だったと思う。
そう言えば、私がいつも持っていた花の花言葉はなんだったんだろうか
結局最後まで調べるの忘れてたなあ
彼女の名前が入ったトラユリを
彼に贈ったのが懐かしい
まあ、今はどうでもいいや
あれ、
そう言えば、貴方に言えなかったことが有ったような
気のせいよね
トラユリの花言葉
私を愛して。