第1章 短編集
最初こそ警戒心剥き出しにしていた彼も私の授業態度や、授業後に建て前は学問的にと、本音は先生と居たいと言う理由で数年間話していると次第に警戒心は消えていったように見えた
彼に出会って三年が経った。
「明日、私の誕生日なんです。だから・・・そう、おめでとうって言って下さい。」
子供じみた言葉に自分・・・恐らく彼も驚いた
片眉を上げて短い返事をした
ありがとうございます、と言ってスリザリンの寮に戻った。
組み分け帽子にスリザリンに入れてくれと頼んだのは、大好きな彼にグリフィンドールで好かれる自信がなかった、というのもあると思う。それは今も思っている。スリザリンじゃなかったら彼は話は疎か、質問に答えてくれるかも分からない。それも、得体の知れない出会いをした少女なんて。
次の日、数人から誕生日のプレゼントを貰った。
プレゼントを開ける前に大好きな彼の元へ行った
二回、一回、二回
自分だけのノックをするとキィ、と分厚い扉が開いた
「先生、こんにちは」
「・・・ああ」
期待するような目で見ていたのだろう、逆に言いづらかったのか取り敢えずソファーへと促してくれた
彼は向かいのソファーに座って
「おめでとう」
と小さく言ってくれた
その後で、今後も減点されぬよう勤勉にとか教師らしい事を並べた。照れ隠しだろうか。
暫く沈黙が続いた
私の方も何故かいつもの様に話題が出てこない
何か話すことは無かっただろうかと話題を探していると彼が真っ黒な箱を取り出してきた
「・・・開けろ」
何も言わずに目だけで感謝の意を表し箱を開けた
其処には義眼が入っていた
綺麗な
綺麗な
エメラルドグリーンの。