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白昼夢、或いは現か夢遊病。

第1章 短編集


静かになった部屋の中、静寂だけが二人を包む

「・・・教授、私ねこの絵を見てもらったとき誉められたんです」

相変わらず眉に皺を寄せて私の話を聞いている

「動く絵画の専門家の人にこれまでにない程素晴らしい出来だって・・・描いてる人を余程思っていたんでしょうって。嬉しいです、とても。」

「・・・そうか」

素っ気ない一言だけど表情は僅かに緩んでいた



逆に私の表情は段々と悲しみにいっぱいになった




「ねえ・・・ねえ、教授、なんで私の居ない場所で死んでしまったの?なんで・・・私の知らない時に死んでしまったの?なんで・・・なんで・・・どうして・・・?」

「・・・・・・すまない」

「すまないじゃないですよ、私、私がどれだけ・・・私が行ったときはもう冷たくて・・・いつもよりもずっと顔色悪くて・・・人間じゃないみたいで・・・嗚呼もう教授はここに居ないんだって、私異様に落ち着いてて・・・まるで教授が死ぬのを仕方ないとでも言ってるかのように・・・」

「・・・すまない・・・本当にすまない・・・」

「だからぁ・・私が聞きたいのはそんな言葉じゃあ無いんですよ・・・ぉ」

涙が止まらない。教授の前で泣いたら教授が涙を指で掬って撫でてくれた。でも今は目の前にある、その手が伸びてくることはない。



目の前にあるのに



目の前に


そう思うと虚しくなって涙が余計に出て来て。

絵の中の教授もどうすればいいのか分からず動揺している。手を出来る限り伸ばしてみたりするけれど、私には届かない。

「教授・・・教授・・」

私の手が教授に向かって伸びる



教授の手に触れても体温が無かった




自分で描いた絵なんだから当たり前ではないか。




分かっていても、分かっているのに





「教授、愛してます」


「・・・・・・・・・私もだ。」


体温がない教授の手に触れながら微笑むと、教授が撫でるように手を動かしてくれた。
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