第1章 短編集
3ヶ月くらいかかっただろうか。
色を塗って保護魔法を念入りにかけた。
ハリー達に見せると「うわあ・・・今にも減点されそう・・・」と言われた。誉め言葉と受け取る。
後は彼の記憶を絵にかけるだけ。
この場に居合わせたのは、ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジニーだった。
ハリーが私に記憶の入った瓶を手渡し、君がやってくれと言った。すぅーっと記憶が教授の絵にかかると、絵はぎこちなく動き始め、黒い目が私を見た。そして、服に付いた埃を祓い、乱れた髪を整えると側にあった椅子に座った。
「わあ・・・本物みたい・・・」
「今からグリフィンドール減点って言うだろ・・・罰則だって言うだろ・・・」
「すごいわ・・・」
四人は口々に絵に称賛の意を発した。私は黙ったまま教授を見つめていた。
自分を見る五人に苛々したのか教授が
「何を見ている」
と、いつもの調子で言うもんだから皆は"最初の言葉がそれかよ"と思いながらも、急に学生時代に戻った感覚に陥った
「教授・・・」
私が一歩前に出て言うと、なんだとぶっきらぼうに言われた。
「その・・・スネイプ教授、教授の絵を描いたのはなまえなんです」
ハーマイオニーが言うと少し驚いた表情で教授が私を見る
「なまえが?」
教授がチラリとこっちを見る
「はい、教授」
「・・・成績がアレだったら予想できた結果ですな」
「失礼な!これでも結構やり手の画家なんですよ!!」
「見る者に錯乱の呪文でもかけてるのではないのですかな?」
相変わらずのスネイプにロンが吹き出してしまった。
「Mr.ウィーズリー、卒業しても尚、我輩の罰則を受けたいようですな?」
「いえ、滅相もございません・・・」
「ああ!ロン、そういえばもうそろそろジョージの所に戻らないとだめなんじゃない?ハリーもジニーも、映画観に行くんでしょう?」
わざとらしく早口でハーマイオニーが言うとロンは空気を読んでさっさと部屋から出て行った
「えっ、僕映画なんて・・・」
「行くんでしょ?」
「あ、ああ、そうだうん!映画だ映画!」
半ば強制的に空気を読めないハリーをハーマイオニーとジニーが連れて行く。やっぱり嫁は強いわ、うん。